サッカーの各国代表には隆盛があり、栄華を極めた強国が失墜したり、また突如として頭角を表す国が出現したりもします。2012年までは無敵を誇ったスペインでさえ、主力の高齢化とともに順位を大きく落としました。
逆に、後者の代表格にベルギーが挙げられます。日本人には2002年の日韓ワールドカップで対戦した時のイメージが強いと思いますが、その後ベルギーはワールドカップの出場を逃し続け、失意の時間を味わっていました。
しかし、近年有望な若手選手が次々と誕生したベルギーは黄金時代を迎え、世界のトップ10にランクインするまでに成長しました。その中でエースと呼ばれている選手が、エデン・アザールです。
進境著しいベルギーにあってエースと呼ばれるアザール選手とは、どんな人物なのでしょうか?
フランスの頂点に立った男の武器はドリブル
攻撃的なポジションを複数こなし、若くして才能を認められたアザール選手は14歳にしてフランスのリールへと移籍します。そこでさらにその才能を伸ばした彼は、中盤の選手とは思えないほどの得点能力を見せつけ、20歳の時にはリーグの最優秀選手にまで上り詰めました。
フランスでナンバーワンとして認められたのです。
その活躍が認められ、アザール選手はイングランドの名門、チェルシーへと移籍します。移籍金は約39億円、20歳過ぎの若手に対して、それだけの値がつけられたのだから驚きです。
現在もプレーするチェルシーでは、1年目から主力として活躍し、この名門であってすら、なくてはならない戦力になっています。
そんなアザール選手の最大の武器が、ドリブルです。
スピーディーかつトリッキーなそのドリブルは、ファウルでなければ止められないとすら言われています。実際、フランスで彼はリーグで最もファウルを受けた選手でした。
彼のドリブルの秘密は、その圧倒的な技術にあります。
単に足が速いだけの選手なら、大勢います。しかしそのほとんどはボールを扱いながら走るドリブルでは、大きくスピードを落とします。
ところがアザール選手は卓越した技術力によって、走るのとほぼ変わらないスピードでドリブルができるのです。
速さが求められる現代サッカーで彼が成功しつづけられるのは、それをこなせるだけの技術を有しているからに他なりません。
アザール家はサッカー一家!アザールを育てた両親
なぜ彼が、それだけの技術を身につけられたのかと言えば、まず幼少時からボールに触れていたことが挙げられます。
ただこれはサッカーが盛んなヨーロッパであれば、珍しいことではありません。秘密は両親にありました。
現代では、両親ともにアスリートだった選手は少なくありません。
ところがアザール選手の場合、両親ともにプロサッカー選手だったのです。特に母親はアザール選手を身ごもってからも3ヶ月ほどプレーしたといわれています。
アザール選手には他に3人の弟がいるのですが、まだ幼い末っ子以外は全員プロサッカー選手になっています。両親の優良な血筋を疑う理由がありません。
「とにかく自由に楽しめ」
アスリート一家ともなれば、幼少からの厳しい指導を連想しがちですが、アザール選手の両親は違いました。まず楽しむことを前提に、のびのびと育てたのです。
そんな素晴らしい両親のもとで、エデン・アザールは成熟していったのです。